助川友朗のエッセイ集

tomo essay

05 初心に帰れ

昨年暮れに大変うれしいニュースが舞い込んできました。
ADTV(全ドイツダンス教師協会)とINTAKO実行委員会からの2008年度 第41回 INTAKO(インターナショナル・ダンスティチャーズ・コングレス)講師依頼の報です。 2001年から公式にAJDT/IDCがその構成団体と認められ、毎年参加し、2004年にTOKYO・ONDOの講習を皮切りに、毎年日本からの発信を行ってきました。


小ルームから、メインホール、夕方の人気のない時間帯から、午前と時間が変わり、昨年は、最終日のゴールデン時間帯と時を移して、遂に本年度は2日間、スタンダード種目とラテン種目の依頼が舞い込んできたのです。


過去において同一人物が、両種目二日間の講師というのは、そのINTAKOでのメイン講師扱いです。 INTAKOでは、毎年終了時にアンケートが実施されます。面白いと感じた講習、又次年度受講したいと思われる講師名などがアンケートによって明らかにされます。


日本からの発信は確実に評価されていると肌で感じ取ってはいましたが、こんなに早くメイン講師を勤めさせていただけるとは思っても居ませんでした。 最初の依頼は、東洋の外れから、ダンスの後進国からやってきた変わり者たちに、敬意を払って、伝統的なダンスの披露という形での講師依頼が、思ったより面白い役に立つと評価が変わり本年度へと飛躍的に評価されたのだと思います。


毎年、必死に宮木先生と無い頭を絞り、作り上げたものがヨーロッパ中の教室で流行っていく痛快さは教師冥利に尽きます。 昨年からオーストラリアも参加し、ヨーロッパ13ヶ国に英国、アメリカ、日本、等々20ヶ国以上から1000名のダンスの先生が集結するINTAKOにもっともっと日本の先生に参加してもらいたいと願うばかりです。


長い歴史のなかで、日本は7回しか参加していないのですが、毎年感心することがたくさんあります。その一つは4日間の講習の中で初心者に対する講習の多さです。毎年手を変え品を変え初心者に対する教え方が紹介されるのです。

「高齢者の初心者の為に」、「若年層の初心者の為に」、また種目別にも「初心者に対するタンゴの教え方」、「初心者の為のディスコフォックス」、「サルサ!初心者編」と言うような感じでもの凄く、初心者に対するやり方、教え方の講習が多いのです。

とにかく初心者対する教え方の研究、開発は絶えることなくことなく行われつづけているのがよく解ります。 比べて、日本はどうでしょう、我々AJDT/IDC以外での他団体ではどうでしょう? 『そんな事言ったって、初心者などうちには来ないもの』『初心者募集したって、履き古したダンス靴持ってくるもの』と言う声が聞こえてきそうです。

人間は生まれてきたときから、ダンスが踊れるわけではありません。どんなにベテランでも最初は初心者だったはずです。全ダンス愛好家、全ダンス人口は全員が初心者でした。ですから、初心者が来ないと言うことはダンス人口が減少している、滅亡、に向かってまっしぐらに走り続けていると言うことになります。


昨年、我々の会員の為の 夏のセミナー のテーマは「海外事情と日本のダンス」でした。その準備の為、我々はINTAKOで聞き取りアンケート調査を行いました。 INTAKOに参加している教師の教室での、初心者の入会人数は何と多いところでは一年間に2600人と答えた人がいました。

平均でな・なんと一年間で1500人でした。平均ですよ!!!! 最近、うちにこられた30代前半の男性と、20台後半の女性の話です。二人とも他の別々のダンス教室(両方とも名前を聞けば誰でも知っている某元チャンピオンの教室でした)で半年間習って、何か不満があって止めて、うちにこられました。

男性は、ラテンは何もやっていないのです。で、ブルースを踊らしたら出来ないのです。聞いたら習ったことないと言うのです。 女性は、スタンダードは全然やったことがないと言うのです。で、ジルバを踊ってもらったら、これまた習っていないのです。 唖然としました。これが日本の現状なのです。 初心者に何をどう伝えて、踊れると言う実感を持たせることが希薄になったレッスンを日頃行っていては、初心者を受け入れる体制が無いということです。

そこには初心者が来なくて当たり前です。 何年か過ぎると初心者であったことを忘れた、サークルの先生が初心者を逃し、初心者を教えた経験の無い、ダンス教室の先生が初心者を逃しているのです。

日本で、他団体より、はるかに初心者に対する教え方の研究開発とノウハウの発信を行っているAJDT/IDC。 その会員の皆様がそれに気づくことなく、講習の内容を忘れ、他団体会員と同じ過ちを犯していることは悲しむべきことです。 滅亡に向かっているダンス界を救えるのは、AJDT/IDCの会員の皆様だけなのです。


今こそ初心に帰り、初心者の教え方を勉強し、研究し、初心者を迎え入れる体制を作り、初心者を育て上げることしか道は無いのです。 全ては初心者に帰れ!!です。