助川友朗のエッセイ集

tomo essay

11 今こそ!動き出そう!



20年前、私たちは相当な危機感を持ちました。
10年経てば、ダンス愛好者の平均年齢は10年上がり、ダンス人口は半減する。 そして10年後、予想を上回る速さで危機は襲ってきました。 10年前に会報で私が書いた内容です。


『 私たちは「ダンスの見直し」と「ダンスの教え方の変革」に挑戦しています。 それは、現在の我々ダンス界が抱えている問題点を解決し、日本の中にダンスを文化として根付かせることを目的としていているからです。 ダンスを文化として、人間が豊かに生きていくための道具として、ダンスを捉えたいのです。


個人レッスンを中心に発達した我々日本のダンスは、「習い事」としてのある種の確立をし、世界に類をみない発達をしました。 しかしながら、その過程に於いて、人間と人間が言葉以外でコミニュケーションするというダンスの持っている不思議な魅力を忘れ去ってしまったような気がします。


ダンスは本来「誰とでも」「何処でも」「どんな音楽でも」踊ることが出来たはずなのです。 ところが日本の「社交ダンス」は、特定な人と、決められたステップ(ルーティン)で、踊りやすいとされる標準テンポで踊る、それ以外の何物でもなくなってしまったのです。


ダンスがリードとリードされることによって成り立っているなどと言うことは、昔話になってしまったのです。 今や数少ない東京に残されたダンスホールでは、演奏されている音楽に合わせてダンスを踊るのではなく、自分たちが決めた種目を掛かかっている音楽に関係なく踊るそうです。


そしてその行為そのものになんら疑問さえ挟まないそうです。 ダンス界を支えているダンス愛好家と呼ばれる人の大半がこのようなことに何の疑問も感じないのです。 私たちは、ダンスを文化として育てたいと願っています。しかしながら多くの指導者たちがこのような根本的な問題点に気が付かず、今まで通りにステップやルーティンを教えています。


このままではごく一部の人しか取り組まなくなるであろう、「習い事」のダンスを正しいダンスと公言して指導し続けているのです。 わたしたちは、ここ数年、どのようなダンスを、どのような人に、どのように教えるか研究開発をしてきました。一番重要な哲学について考え、時間を消費してきました。


そしてその具現化したものを、マニュアルとして会員の皆様に提示してきました。 どのような手順で、どのように取り組むか、我々のマニュアルを参考に一人一人が自分のものを創り上げるお手伝いをしてきたつもりです。 がしかし、いざ教える時になると自分が習ったように、自分が習ったことと同じように教えている会員が多く見受けられる様な気がします。


それは文化としてダンスを育てることと逆行しているかもしれないのです。我々の行っていることを破壊し、ダンス人口を減らし、生徒さんやお客様を被害者にしていることになっているかもしれないのです。 もう一度考えてください。


あなたの生徒さんやお客様が本当に「何」を望んでいるのか?を! 誰とでも、何処でも、どんな音楽でも、踊りたいと願っている人にあなたは「ルーティン」で教えていませんか? 古くなってしまった日本のダンスとその教え方、そしてそれを維持する日本のダンス界。それを改め、明日のあるべき形を追求する。

その答えは難しいことではありません。ダンスの教師も、教師協会も、ダンス愛好家と呼ばれる人々も、本来のあるべき形に戻るべきだと言うのに尽きます。 しかし、この単純なことがそれほど容易に出来るわけではありません。それを阻む組織が有り、制度があり、利権や慣例があるからです。


そして何より長い成功体験を信じ、現状に安住したいという気持ちがあるからです。 ダンスとダンス界の再生に必要なのは、勇気と決断、そしてそれを実現する夢を求める気持ちだと思います。』 これを会報に書いてから、また10年が過ぎました。残念ながら、私たちはその危機を回避することも、新しい流れを作ることもできませんでした。


しかし、私たちは希望を捨てないで、取り組みつづけています! 昨年の8月にJDSF(公益社団法人 日本ダンススポーツ連盟)と合同勉強会を開催しました。このままでは、日本のダンス界が滅亡する。競技だ スポーツだ と言ってきたけど、やはり、「社交ダンス」を見直さなくては。JDSFの幹部の方々からの呼びかけでした。


全国的に「ジルバ」を踊らせて、社交ダンスを見直しさせよう!JDSFの今年の方針です。 私たちもそれに合わせて活動していきたいと思います。 しかしながら、「社交ダンス」も見直すことはダンスに対する考え方を変えることです。

相手と踊る、相手に好かれるように踊る、これらのことは教え方を変えなければなりません。 50年前には、当助川ダンス教室では初心者に対して、床に白墨でステップを書いて覚えさせました。


笑い話です。しかし周りを見てください、ほとんどのサークルで、ダンス教室で、ダンスホールで団体レッスンの場合は、紙にフィガーの羅列や、ステップを書いて、それが親切だと信じてルーティンで覚えさせるようにしています。


50年前と何も変わらない教え方です。 今月はブールス4回、次の月はワルツ4回、次はルンバと一か月毎に種目を決め、誰かが作ったルーティンを24小節や32小節ずつ、男女を別々に分け、男性には男性の足型を、女性の足型を覚えさせていきます。 戦後ダンスが流行りだしたころのグループや団体で教えていた方法と同じです。


ダンスホールやダンス教室という限られた空間から、公民館ダンスという大衆化が進みだした時に、ダンスを文化として根付かせる大きなチャンスだったのです。 しかしながら、我々はその大きなチャンスを大きな失敗に変えてしまったのです。 今までやってきたことが一番効率的で、かつまた親切だと。


ダンス人口の超高齢化と減少は、ダンス教室やダンスホールの閉鎖やサークルの減少で明らかになっています。 我々よりも大きな全国的に影響力を持つ他団体も少しづつ我々の主張に耳を傾けつつあります。 今がチャンスなのです。新しいサークルを、初心者を集め、AJ方式のレッスンを展開してください。


1回のレッスンに5~6種目取り入れ、ルーティンではなく、音楽をかけ、1を意識させ、体感教授法を実感させてください。 300人のAJDT/IDC国際ダンス本部の会員が、一つづつ初心者のサークルを作れば、5人の人を集めれば新たに1500人のダンス愛好家が増えていきます。


世界中どこへ行っても、誰とでも、どんな音楽にでも踊れることができ、踊る相手にとても好かれる、そんな愛好家が日本に生まれるのです。

今こそ!大きなチャンスの到来です。